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サイドストーリー
第3章 数学のセンセイ
「智樹先輩。好きです」
高校も2年が終わろうとする時、昼休みに呼び出された。
こんなことはよくあることで気にも留めなかったけど
女の子が一緒に差し出したちっちゃな包みを見て思い当たった。
ああ。
今日はバレンタインか。
高3が受験のこの時期に数学のセンセイの弥生ちゃんは
きっとバレンタインなんか忘れてる。
俺らの1コ上の受験生のために毎日遅くまで色々やってる。
来年は俺らの番だ。
けど、まだまだ実感はなくて。
そんなことをぼーっと考えていたら女の子への返事を忘れていた。
「智樹先輩?」
「あ・・・・わりぃ。俺付き合ってる子いるんだ」
「・・・・噂は本当なんですね」
「あ~。どんな噂か知らないけど。これを受け取っちゃうとそいつ、
泣いちゃうから」
「大事にしてるんですね」
「まぁね。大好きだから」
その子は、はにかんで笑った。
「はっきり教えてくれてありがとうございます」
「いや」
もう一度ぎゅっとちっちゃな包みを握り締めると
その子は駆けて行ってしまった。
名前を聞いてやることもしなかったな。
姿が見えなくなってからそんなことを思ったりした。
高校も2年が終わろうとする時、昼休みに呼び出された。
こんなことはよくあることで気にも留めなかったけど
女の子が一緒に差し出したちっちゃな包みを見て思い当たった。
ああ。
今日はバレンタインか。
高3が受験のこの時期に数学のセンセイの弥生ちゃんは
きっとバレンタインなんか忘れてる。
俺らの1コ上の受験生のために毎日遅くまで色々やってる。
来年は俺らの番だ。
けど、まだまだ実感はなくて。
そんなことをぼーっと考えていたら女の子への返事を忘れていた。
「智樹先輩?」
「あ・・・・わりぃ。俺付き合ってる子いるんだ」
「・・・・噂は本当なんですね」
「あ~。どんな噂か知らないけど。これを受け取っちゃうとそいつ、
泣いちゃうから」
「大事にしてるんですね」
「まぁね。大好きだから」
その子は、はにかんで笑った。
「はっきり教えてくれてありがとうございます」
「いや」
もう一度ぎゅっとちっちゃな包みを握り締めると
その子は駆けて行ってしまった。
名前を聞いてやることもしなかったな。
姿が見えなくなってからそんなことを思ったりした。