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サイドストーリー
第5章 恋心あれば水心
「今日、19時からだよね。定時で上がって急いで行こう!」
「もちろん。ヨウちゃんとの約束の時間に遅れる訳にはいかないもんね」
「ヨウちゃんに会うのひさしぶり!」

久美とそんな社内メールを送りあって
私は必死に仕事をする。

今日は何が何でも会社を17時に上がりたい!

本当は残業したほうがいいか…という仕事には目をつぶる。
ヨウちゃんに会いに行くのに明日に回せる仕事は明日にする。

二人で待ってましたとばかりに定時で上がり
急いでロッカールームで着替える。

エントランスに17時10分に着く。
上出来だ。

急いで出ようとしたところを
「希望!」と引き止められる。
ちっ。
はしたなくも舌打ちした。

「ごめん急いでるんだけど」
山田さんにかまっている暇はない。

「ヨウちゃんに会いに行くから?」
「っっ!また社内メール読んだのね!」

もう。プライベートもあったもんじゃない!
って、社内メールで連絡する私たちが悪いけど
就業中にスマホを出して堂々とメールするよりは
社内メールの方が上司を欺きやすい。

「後でメールする。今急いでんの」
そう言って振り切ろうとすれば
「おい!ヨウちゃんって誰だよ!!」

「・・・・」
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