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サイドストーリー
第12章 好きと言って②
「結局、春人はあの梨乃ちゃんとそのまま?」

社会人になって2回目のGW。
今日はちょっと肌寒いかな。
いきなりメールで麻子に「どうせ暇でしょ」と呼び出されて
大学近くの昔よく行った居酒屋で飲んでいる。

梨乃は―――
3年生になったのか。

GWで学生のいない居酒屋で
懐かしい元カノを思い出していたら、
麻子が不意に梨乃の名前を持ち出した。

麻子は顔はめちゃくちゃきれいだと思う。
髪型も服装も女らしい。体型も。
でも。梨乃に振られて、落ち込んで、ゆっくりと周りを見渡してみると
麻子は俺の男友達の誰よりも男っぽかった。

まだ入学して間もないころ
こいつの見かけにやられた。

そして3年後、就職活動中も
結局は俺の優柔不断さで梨乃を手放してしまったんだけど
今から思えば
麻子に気持ちが残ってたんじゃないか?と問い詰められたら。
絶対に未練はなかったといいきれない。

いや。
俺は麻子に未練があったんだと思う。

初めて本気で好きになった麻子に浮気され
知らない間に笑いものにされ
振られて、俺はどん底だったけど

それでも嫌いにはなれなかった。
それでも好きだったんだ。
きっと―――

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