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狂人、淫獣を作る
第4章 淫獣
 「それは分かったが……あんたが調教していた少女の話からそれてないか?」
 「いやいや! 逆ですよ……まさにそっちに向けて話は進んでいます……。さて後日、私は連絡先を聞いたその奴隷女を呼び出しました。そして尋ねたんですよ、どうして私を裏切ったのか、とね」
 「……裏切った?」
 「ところが全くそれに答えようとしない……主に固く口止めされているからですよ。もうその主に捨てられて新しい主に譲渡された分際で、ですよ?」
 「裏切ったって、その女はあんたに何したんだ?」
 「警察に売り飛ばした」
 後藤は怪訝そうな顔をして、身を前に乗り出した。
 「……あんたらしくないな、ますます話が見えんぞ?」
 源は姿勢を変えもせず、落ち着き払った様子のままだ。
 「私はその女と今から五年ほど前に肉体関係にあったんです。しかも彼女から求めてきて……。ところが関係を持ってすぐに急に私をさけるようになりました。その上、あろうことか親にそのことを話してしまったんですよ」
 「親に話したくらいで何で警察に……いや……十八歳未満だった……ってことか?」
 源はうなずいた。「おかげで私は警察に追われるはめになりました。ただね……私にはどうしても解せなかったんです。なぜ急に私をさけるようになったのか? そんな兆候やトラブルも一切なかった。そもそもの始まりは、彼女自身から私の身体を求めてきたのに、ですよ? なのになぜ親に話したのか? その時のことを、呼び出した彼女に尋ねたのですが、答えない」
 いつの間にか障子を通して夕日が入り込み、部屋の中は薄暗くありながら燃え上がるように真っ赤に染め上げられていた。座っている男二人も、陽の入る方向の体半分が赤く燃え上がっている。
 源は続けた。
 「まあ結局彼女は、私が撮影した彼女とのハメ撮り写真を自慢気に勝手に他人にばらまいたからだ、と答えましたがね……当時あわてて不安に駆られた彼女は、写真がばらまかれたことを教えてくれたある人物から、親に相談するよう指示されたそうです」
 後藤の目に一瞬鋭い光りが駆け抜けた。
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