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第38章 鬼の目にも…

「そんな母親が連れてきた婚約相手は、潰れそうな整骨院の娘だった。

女性ながら医大を主席で卒業した彼女は周りに惜しまれながら、実家を助けるために、そこで働いていた。

母は、彼女の頭脳と美しい容姿を手に入れるために、その整骨院を助ける条件で縁談を進めた。

それが皐月だ。

皐月にとっては……意としない縁談だったかもしれないが、私は違った。

一目惚れ……と言うやつかもしれん。

縁談の場に現れた皐月は、嫌な顔一つせず、私の話を楽しそうに聞いた。

触れたことのない柔らかな雰囲気に、私はすぐに惹かれていった。

彼女となら、暖かい家庭を作れるんじゃないかと……
人一倍それに憧れていた私は胸を高鳴らせた」



そこで、父親はふっと小さく笑った。
初めて……初めて優しく笑う顔を見た。


そんな笑い方も出来るんじゃねーか……