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第38章 鬼の目にも…

「でも、そんなに上手くいくわけがなかった。
私は……甘かったんだ………」


一瞬見せた優しい笑顔はすぐに消え、険しいものになった。


「母は、縁談が決まり、皐月が嫁いでから
私の知らないところで皐月に……っ！
皐月に暴力を振るっていた！

もちろん、手をあげるだけではない。
言葉でもなじり、精神的に追い詰めていった。

それを、父も見て見ぬフリを決め込み……
私がその事態を知ったのは、結婚して5年も経った頃だった」


唇を噛み、拳を固く握る。


「私は……皐月を守るどころか、それを責めた。

なぜ話さなかったのかと。
私はそんなに頼りない夫なのかと……」