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第1章 体だけの関係

今時の子ってドライだよなあ。
初めては好きな人と、とかないもんなのか？
……勢いでヤった俺が言うのも何だけど。

隣を歩く志織を盗み見た。
俺には志織が今時の子に当てはまるのかさえ分からない。

19歳の志織と29歳の俺。
10歳も離れていれば流行も様変わりする年の差だ。
いくら考えても分かるはずもなかった。

「どうしたんですか？」

大きな瞳がこちらを向いた。
肩まで伸びたストレートの黒髪。
服装もそんなに派手には見えないし、むしろ地味な方じゃないかと思う。

だからこそ二重で驚いたのかもしれない。
こんな子がセフレでいいと言うなんて。

「こんなおっさんとヤって楽しい？」

実際にはおっさんと呼ぶ年齢ではないのかもしれないが、志織くらいの年齢で10歳というのは結構大きな差ではないかと思う。

「うーん、楽しいっていうか。気持ちいいかな？」

……そりゃどうも。

悪い気はしないがちょっと恥ずかしい。
こういうことをストレートに言えるのはやっぱり若いからなんだろうな。