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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
 浄心院を出た翠容は紗(うすぎぬ)を頭からすっぽりと被って足早に歩いた。浄心院ももちろん広大な宮殿の一角に建てられている。つまり出るときは宮殿の正門からになる。
 そろそろ長い初夏の陽も暮れる刻限とて、都を包む空は茜色に染まり始めていた。操の都華陽は皇帝の住まう宮殿を中心に碁盤の目状に伸びた大路がひろがっている。皇宮に近いほど身分の高い王族・官僚の屋敷が建ち並び、外に行くにつれて中級官吏、更にその下と住まう者たちの階層が違ってくる。
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