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後宮艶夜*スキャンダル~鳥籠の姫君は月夜に啼く~
第11章 後宮艶夜*スキャンダル 接近~二つの心~
 紫蘭の室は俄に慌ただしさを増していた。普段はひっそりと静まり返った周囲が騒がしい。紫蘭は何事かと翠容の代わりに側に控えていた宮女に様子見に行かせた。
 と、若い宮女が色を失って戻ってくる。
「皇太后さま、大変です」
 紫蘭は先帝の皇后であったから、立場上は現在、〝皇太后〟なのだ。翠容以外の宮女は皆、紫蘭を皇太后と呼んでいる。
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