この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 本来なら頬を抓り、痛覚で夢か現実かを推し量るところだが。

 なにせ拘束状態のヴィヴィは、両手が全く使えない。

 しばらく困った様に眉根を寄せていたヴィヴィは、やっと気付き。

 おもむろに、口内で舌を噛んだ。

 が。

「い……いひゃい……っ」

 思いっきり噛んでしまい、ちょっと涙目になっていると、

「……ぅ……ん……?」

 流石の匠海も、深い睡眠からやっと目覚めたらしい。

 ヴィヴィが見上げる中、切れ長の瞳がうっそりと開かれていく。

 そこから覗いた灰色の瞳は、まだ眠気を纏いながら、ぼんやりと濁っていて。

 そして、ついと降ろされた灰色の瞳と、見上げていた同じ色の瞳がばちりとかち合った。

「……あ……起きた……」

 匠海の寝起きの第一声に、もちろんヴィヴィは、心の中で突っ込んだ。

(それは、こっちのセリフです……)

 けれど、それを口にする事も無く、ぱっと視線を外した。

 どうしよう。

 匠海が起きてしまった。

 そして、穴が開きそうなほど、自分の事をじいと見下ろしてきている。

 そう思うだけで、薄い胸の奥がざわざわと騒がしくなり始めた。

 先程までは、真っ直ぐに兄を見つめられたのに。

 何故だろう。

 目蓋を開いた匠海とは、どうしても真正面から対峙出来ない。

 そして、今更ながら、

 両腕をがっちり腰に回されているこの状態が、とんでもない事をされているのに気付いた。

「は……離――」

「ふわわ……。今、何時?」

 「離して」と懇願しようとしたヴィヴィの声は、間延びした兄のそれに掻き消され、

「……え……? え、えっと……、じゅ、10時過ぎ……?」

 兄の腕の中、部屋中をきょろきょろ見渡したヴィヴィは、壁に掛けられた時計を見つけて答える。

「なんだ……。まだ1時間も、寝てないのか……」

 そう1人ごちた匠海からは、欠伸を噛み殺している気配が伝わってきて。

「え、えっと……。あ、の……。は、離し――」

「ごめん。あと1時間だけ、寝かせて……」

 またもや妹の言葉を遮った匠海。

「え……? っていうか……、ここ、何処……?」

 今更ながらに気になったその疑問には、目の前の兄にしか答えを貰えないのに。

「秘密……」

「え……?」

 まさかの返答に、ちらりと見上げてしまったヴィヴィ。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ