この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 シャワーを終え、髪を乾かし。

 備え付けのオフホワイトのバスローブを纏ったヴィヴィは、やはり膝丈の裾を不安げに押さえながら、リビングへと戻った。

「さっぱりした?」

 ダイニングテーブルでノートPCを弄っていた匠海が、妹に微笑み掛けてくる。

「う……うん。あ、あのね……。スマホが無いの」

 (先程 味見出来なかった)咽喉仏を見つめながら、ヴィヴィはそう遠慮がちに主張してみる。

「スマホ? ああ、屋敷に置いて来たからね」

「そう……。ここ、電話無いんだね? お兄ちゃんのスマホ、貸してくれる……? クリスに電話したいの」

 先程覗いた2つのベッドルームには、何故か電話の子機等が1つも見当たらなかった。

 昨晩の自分の醜態を思い起こすに、クリスとダリルには、今この時点でも多大な心配を掛けている筈で。

 だから、取りあえず元気でいる事と、昨夜のお詫びを伝えたかった。

 ただ、それだけなのに、

「やだ」

「え……?」

 何故か拗ねた様子で短く突っぱねてきた匠海に、ヴィヴィはちらりとその表情を確認する。

「何でさっきから、クリスの事ばっかり考えてる?」

 そう言い募る兄の顔は、やはりどこか不服そうで。

「え? だ、だって、いきなり居なくなったら心配するでしょう?」

 何せ、昨夜までの自分は記憶が曖昧とはいえ、

 自分を溺愛してくれる双子の兄の前で「死なせて」と連呼していたのだ。
 
 ヴィヴィの姿が見えなくて、今頃 血眼になって探しているかも知れない。

「大丈夫だよ」

「大丈夫……?」

 兄の返事の意味が判らず、金色の頭が微かに傾く。

「両親もクリスも、俺がヴィクトリアを連れて、オックスフォードを離れた事を知っている」

 PCを閉じながら立ち上がった兄のその言葉に、ヴィヴィは瞳をぱちくりとさせた。

「え……?」

 オックスフォードを離れている?

 匠海の言葉を頭の中で反芻したヴィヴィは、更に首を傾げる。

 それならば “ここ” は一体、何処なのだ?

 それに、今、

 兄は “ヴィクトリア” と呼ばなかったか――?

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ