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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 薄い胸の内が、これでもかというくらい締め付けられる。

 どうせ、比べるんでしょう――?

 今や自分のものになった妻と、かつての恋人で捨てた自分、を。

 見た目で、

 触れた感触で、

 感じ方で、

 喘ぎ声で、

 締め付け具合で、
 
 それぞれ比較して、

 優劣を付けて、

 総合的に判断して。
 
 そうして、最後には選ぶのでしょう?



『ああ、やっぱり俺が愛すべきは愛妻であり、1人息子であり、今の家庭だった――』

 ――と。



 胸を抉る悔しさに、小さな顔が醜く歪む。

 確かに自分は、最期に兄に会いたいと希(こいねが)った。

 けれどそれは、

 匠海に “身も心も愛されたいから” では無かった筈――。
 
 人が苦しんでいるのにも関わらず、また小ぶりの乳房に這わされた掌に、

「いっ いやぁ……っ」

 躰を強張らせたヴィヴィは、必死に懇願する。

「やめて、やめて下さい……。お願い……っ!」

 本当は誰も傷付けたくなんてない。

 あの男にだって、歯も刃も向けたいなんて、

 これっぽっちも思っていやしなかったのに。

「どうしてぇ……? どうしてこんなこと、するの?」

 そんなに私が憎いのか?

 そんなに自分が悪いのか?

 自分は兄の目の前から姿を消した。

 そうすれば、もう兄も自分も、

 これ以上 苦しまなくて済むと思って。
 
 なのに、どうして、

 わざわざ自分の前に――捨てた女の前に、

 今更 姿を現したりするのだ?

「私を捨てたのはお兄ちゃんなのに、なんでこんなこと、するの……っ?」

 恋人として幸福の絶頂を覚えていた、まさにその時。

 匠海は他の女を孕ますという、最低最悪の裏切りで、自分を不幸のドン底へと突き落とし。

 そして、結婚という結論を導き出したのは、紛れもない兄自身だ。

 恨み辛みを零す女を抱く事は、さすがの匠海も出来なかったらしい。

 微かな嘆息が聞こえたと思ったその時、

 頭の上で押さえ付けられていた、拘束された両手首への重さが消えた。

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