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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 薄っぺらな腹の上を撫でていたかと思えば、

 頼りない腰のラインを指先でトントントンと軽やかに叩き、

 そして、兄に舌で舐められていない方へ必死に顔を背ける、その顎のラインを指先でつつと辿り。

 驚いて瞳を見開いたヴィヴィに満足したように、頬を撫でては首筋を降りていく。

「ここ、舐めたら、俺、嫌われるかな?」

「……え……?」

 何を今更……と詰りながらも、やはり気になり恐るおそる兄を振り仰げば、

「ヴィクトリアの脇の下、舐めてもいい?」

 そうお伺いを立てながら、覗き込んで来る。 

 勿論「いやだ」と言おうとしたのに、返事を待たない匠海の唇が、無毛のそこに押し付けられて。

「ひっ!?」

 灰色の瞳を見開くヴィヴィに構わず、兄はぺろぺろと脇の下を舐め始めた。

 当たり前だが、そんなところを舐められたらくすぐったい。

 特にヴィヴィは、心底くすぐったがりなので、

「ふひゃっ? に゛ゃっ!! いっ いや゛~~っ やめっ くふっ ふはひゃっ!?」

 薄い唇から洩れる奇妙な喘ぎ(?)に、

「お前……なんて色気のない声を……」

 さすがに舌を止めた兄が、少々呆れ顔で突っ込んでくる。

「~~っ!? くっ くすぐったいんだってばっ! てか、そんなもの私にはないから、もう離してってばっ!!」

 自分に色気が無い事くらい、とうの昔から知っているだろうに。

「ああ、ヴィクトリア、敏感だもんな」

 まったく会話が成り立たない返事を寄越した匠海は、やっと頭の上で押さえ付けた手を離してくれた。

 と思えば、

 くすぐったがり過ぎて、ぐったりした妹の隙を付き、
 
 両の掌をしっとりと乳房に這わしてきた。

「――っ なっ やぁっ!?」

 まさかの兄の行動に、驚嘆したヴィヴィはすぐに両腕を降ろしたが、時既に遅し。

「ん?」 

 嬉しそうに覗き込んで来る匠海の大きな手に、やんわりと揉み込まれ始めて。

「ぃっ やっ やだぁ……っ やめ、てっ」

 兄の掌をつんと押し返す尖りの感触に、みるみる顔が熱くなる。

 なんで、そんなに硬くなっているのか。

 自分の胸の尖りをも、円を描きながら揉み解される羞恥に、訳が解らなくなって。

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