この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

 8月10日(木)――日本滞在5日目。

 いつも通り5時に起床したヴィヴィ。

 若干もさもさになった金色の頭のまま、白いベッドを這い出し。

 正に「ぼぉ~~」という効果音の相応しい状態で、寝室を後にした。

 バスルームで顔を洗えば、やっと頭がしゃっきりしてきて、

(今日は……ああ、午後から宮田先生が来て下さるって……。

 あ゛……、今先生にもう一回、メールしておこう……)
 
 後は、五十嵐に取り寄せて貰った書籍を読破して――と、

 本日の優先事項を思い出しながら、歯ブラシにペーストを付けようとし。

「………………」

 歯ブラシをぽいと、白いタオルの上に放ったヴィヴィ。

 作り付けの棚からある物を取り出すと、そのままリビングへと、白い室内履きを纏った脚を向ける。

 小さな冷蔵庫から取り出したのは、ミネラルウォーターの入ったペットボトル。

 ガラスのコップの3分目まで注ぎ、シルバーのシートを掴んだ、その時。

 ノックも無しにガチャリと音を立て開かれた扉を、ヴィヴィは緩慢な動作で振り返った。

「ヴィヴィ、おはよう」

「………………」

 左隣の部屋から顔を覗かせたのは、当たり前だが上の兄で。

(何で、こんな朝早く、に……)

 無言で見つめるだけの妹に対し、戸口に立ったまま入って来ない兄は、気遣わしげな表情を浮かべていた。

「身体、大丈夫かと思ってね」

 言葉を発するのが面倒で、思わず頷いてやり過ごそうとしたヴィヴィだったが。

 頷く = どういう意味に取られる?

 そう疑問になり、しぶしぶ口を開く。

「……心配、無い……」

 ふいと視線を外し、コップの水を飲む妹に、

「アルコールは?」

 まだヴィヴィの酒飲み遺伝子の有無を測りかねる様子の兄は、そちらも心配なようで。

「……問題、無い……」

 全くいつもと変わり無いヴィヴィは、手短に答える。

「そうか。じゃあ、気を付けて行っておいで」

 安堵した声と共に、静かに扉を閉めて消えた匠海。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ