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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

「ああっ 凄い……、ハっ くぅ」

 きっと兄からは、何もかも丸見えだったと思う。

 胸に巻いただけのバスタオルは、激しく跳ねる桃尻全体を覆い隠す程では無かったし。

 あまりの羞恥に身を焦すものの、主導権を握っているのは自分。

 自分が攻めない限り、目指す場所へ到達する事も難しく。

 黒い裾に縋り付きながら、散々互いを哭かせていると、

 苦しげな喘ぎと共に感じた、大きな掌の感触。
 
 匠海の脚の上に突っ伏したまま、背後を振り返れば、

 タオルが肌蹴た白い臀部を、掴み上げている兄の姿が目に飛び込んできた。

「~~~っ もう、やめる!」

 とうとう約束を違えた兄を咎めれば、

「はぁっ ごめん……、悪い。もう絶対、触れないから」

 はっと我に返り、妹の腰から両手を退けた匠海は、速攻謝罪してきて。

「本当にぃ~~?」

 疑わし気に追及するヴィヴィに、匠海は再度 誓いを立ててきた。

 「しょうがないなあ」と憎まれ口を叩きながら、上半身を起こし。

 また繋がったまま、匠海の方に躰を入れ替えた。

「ヴィクトリア、いつの間にあんなこと覚えたんだ?」

 こめかみに汗を浮かべながら覗き込んでくる兄に、妹は薄い胸の中、速攻突っ込む。

(いやいや……。お兄ちゃんが『鞭』与えてきた時に、教えたんでしょうが……)

 なにせヴィヴィは、前向きの騎乗位よりも先に、後ろ向きで しかもうつ伏せてのそれを仕込まれたのだ。

「よかった?」

 兄仕込みの躰の具合を尋ねれば、

「物凄く。ヴィクトリアの小っちゃくて真っ白なおしりが、俺のを銜え込んでっ はぁ……」

 潤んだ瞳で力説してくる匠海。

「頼むよ……。もうこれ以上、俺を虜にしないでくれ、ヴィクトリア……」

 珍しく弱気な事を口にしてくる匠海に「どうして?」と先を促せば。

「苦しい……。凄く苦しいんだ。

 寝ても覚めても、お前だけを欲しくて欲しくて、堪らないっ」
 
 触れる事の出来ない目の前の女の輪郭を、両手で空を切り辿るその姿に、

 ヴィヴィの女の本能が、悦びに打ち震えていた。

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