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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

「ふっ」

「………………?」

 いきなり苦笑する目の前の兄に、訳が分からず戸惑う妹に、

「 “嫌” では無くて “駄目” なんだな?」

 そんな酷な突っ込みを寄越した匠海。

「……――っ」

 大きな灰色の瞳は、目に見えて判るほど、強張っていた。

(だって……。

 だって……、私、は……)

 必死に小さな頭の中で言い訳を考えるヴィヴィを、匠海は待ってなんかくれなくて。

「ああ、先っぽ、挿っちゃったな?」

 ぐぷりと艶めかしい音と共に、押し入ってきた亀頭に、

「ひ!? ……っ やぁ、ダメぇ~~っ」

 頬を薔薇色に染めたヴィヴィは、もう何の役目も果たしていないタオルを握り締めるばかり。

「もっと強く嫌がらないと、離してあげないよ」

 白いベッドの上、軽々と妹を横抱きした兄は、

 くぽくぽと耳を塞ぎたくなる挿入音を立てながら、膣口ばかりを虐め抜き。

 「やだやだ」と甘えた声音で言い縋るヴィヴィを、散々喘がせた匠海。

 やっとそれを止められた頃には、息も絶え絶えの妹は、

 逞しい胸にくたりと凭れ掛かるくらいしか、気力も体力も残っていなかった。

 不正な脈を刻む胸が苦しくて。

 乱れた息が、更に苦しさを助長して。

「ねえ、ヴィクトリア」

 こめかみに押し当てられた、柔らかな唇。

「どうしてさっき、見せてくれたんだい?」

 吐き出される吐息の熱さに、何を問われているのかも定まらなくて。

「……え……?」

「お前の大切な場所に、俺が挿ってるところ」

「……――っ」

 数十分前のあれは、

 コンドームを使用せず、躰を重ねる事に抵抗感を持っていた匠海を誘惑し、

 その気にさせたかった――ただ、それだけで。

「ずっと、そうして欲しかった?」

「ち、ちが……っ」



『次回、ちゃんとピルを飲んでいる時に、

 お前の大好きな “ここ” に、たっぷり注いであげようね』



 英国のヴィラで囁かれたその言葉が、瞬時に蘇えり。

「俺は、ずっとそうしたかった」

 ちゅっちゅっと目尻へ口付けを落としてくる、匠海の腕の中、

 ヴィヴィは何故か、何の抵抗も出来なくて。

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