この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「ヴィ、ヴィヴィ、怖いぃ~~っ」

「め、目がイっちゃってんぞ!?」

 リンクメイト達が寄越す “イタイ子を見やる視線” も何のその。

 そうやって、周りを怯えさせながら、自分を盛り上げたヴィヴィは、

「音、お願いしま~~すっ」

 と発しながら、FS『カルミナ・ブラーナ』の演技後半のスタート位置へと駆けて行く。

「はいよ~」

 もうヴィヴィの奇行に慣れっこな、柿田トレーナーの返事が届いたと思えば、

 広いリンクに響き始めたのは、

 『カルミナ・ブラーナ』の全25曲の大作中、冒頭とトリを飾るに相応しい、神々しく最も壮大な合唱曲。
 
 “O Fortuna ――おお、運命の女神よ”



『おお 運命の女神

 お前は移ろう月の如き 絶えず姿を変え』



 フルオーケストラと混声・少年合唱団による、印象的な導入部。

 ラテン語で盛大に謳い上げられる曲に乗せ、

「てぃっ」

 何故か変な掛け声を上げたヴィヴィは、勢い良く、

 演技後半1本目となる 2回転アクセル + 3回転ループ のコンビネーションを飛び切る。



『満ち欠けを繰り返す

 情け容赦無い 忌むべき世界』



 作曲者カール・オルフが得意とする、オスティナート(執拗な反復)により、低音のリズムで支配されていく中、

 音量を落とした曲に乗せ、3回転ルッツを的確なエッジで飛び分ける。

「うっしゃっ」

(良い感じ~、いい感じぃ~~っ)



『気まぐれに喜びを与え 人の心を弄び

 貧乏も権力も

 氷のように 溶かしてしまう』



 “運命の女神” に対する、人々の嘆きの歌が淡々と重ねられる中、

 その歌詞に引きずられまいと踏ん張るヴィヴィは、3連続ジャンプの1stを踏み切り。

「ふんっ」

 3回転フリップ + 2回転ループ + 2回転ループ を力強く着氷した。



『おぞましく空虚な運命よ

 お前は回転する車輪のように

 悪意に満ち 幸福を無にする』


 演技後半の最後のジャンプとなる、3回転サルコウを慎重に決めれば、

「とぉっ!」

 “運命の女神” とは全く結びつかぬ、般若の如き形相で、ステップシークエンスへと突入する。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ