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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「うふふ、分かったワ」

 つけ睫毛に縁どられた緑色の瞳を細めた同居人に、ヴィヴィは濡れた両手そのままに、カニ歩きで近寄り、

 ワンピから剥き出しの二の腕に、己の半身をぴったりと寄せる。

「ありがと、ダリル。大好きよ」

「うふふ。アタシもよ。ヴィヴィ」

 金色の頭に、ちゅっとキスを落としたダリル。

「……いちゃいちゃ してる……」

 いつから そこに居たのか。

 キッチンとダイニングを繋ぐ戸口に、羨ましそうに呟いたクリスが佇んでいて。

「へへ、クリス も 大~好きぃ~~♡」

 にっこり笑ったヴィヴィに、

「うふふ、アタシも、クリス が だぁ~いすきぃ~~❤」

 にんまり嗤ったダリル。

 可愛い妹と、何か怖い同居人に、

「……それは、どうも……。光栄、です……」

 クリスはいつも通りの無表情のまま、そうぼそりと呟くのだった。 





 ちなみに、翌朝――

「お゛~は゛~よ゛~」

 無精ひげを生やしたまま、寝起きのガラガラ声で起きてきた “男のダリル” に出くわした真行寺兄妹は、

 初めて目にした “男おとこ” した彼に、

「「~~~っ!?」」

 揃って朝っぱらから、超度肝を抜かれたのは、言うまでも無い――。







 8月27日(日)の昼からは、午前中いっぱい滑り込んだ双子も揃い。

 イーストロンドンのヴィクトリア・パークまで足を延ばし、夏フェスに参加した。

 芝生の広がる特設ステージでは、ジャズ演奏が行われ。

 昨年 渡英した際に、すっかりお気に入りになったピムスを傾けながら、円も太一も至極ご満悦だ。

 朝比奈が用意してくれた、美味しいおつまみ等が ぎっしり詰め込まれたバスケット。

 会場に沢山ある屋台で買い込んだバーベキュー(肉とソーセージを炭火で焼き、パンに挟んだだけのシンプルなもの)も美味しくて。

「ふはぁ~~、幸せ~~♡」と、円。

「ピムス、やっぱり癖になる味わい」と、太一。

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