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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「えっと……、その、太一さん……」

 こんな真実を知ってしまって、これから自分は真行寺兄妹と、どう接していけばいいのか?

 その辺がこんがらがり出して、恐る恐る太一を見れば。

「まあ、だからと言って、マドカも僕も、互いを本当の兄と妹と思っているし。そんな気も無い」

 にっこり微笑んで結論を与えてくれた太一に、ヴィヴィは心底安堵を覚えている自分に気付いていた。

「そう、です、よね」

 やっと ほっとした表情を浮かべたヴィヴィに、太一は微笑んだまま深く頷いていた。



 15歳の時。

 生まれて初めて、匠海以外の相手とデートをしたのが真行寺だった。

 兄に想いを否定され、自暴自棄になっていたヴィヴィは、太一にセックスを持ち掛け。

 けれど、連れて行かれた太一の部屋で、彼は自分に指一本触れる事は無かった。



『ごめんね……。僕には君を抱くことは、出来ないんだ』

『私……そんなに女として、魅力、ないですか……?』

『わからない……』

『けれど、僕にも分かることがあるよ』

『…………?』

『辛い恋を、している……そうだね?』

『心配ない……誰にも言ったりしないから……』

『……え……?』

『君の気持が、痛いほど解るから……』

『解るよ……僕も、そうだから……』

『………………』



 あの時、自分は想った。

 この人も、誰かに報われない恋を、しているの……? ――と。



(じゃあ、太一さんの想い人って、誰なんだろ……?)

 そう、頭の中で首を捻っていると、

「太一さん、26歳だし……。そろそろ、お見合いの話、来てますか……?」

 クリスの静かな問い掛けに、太一はくすりと笑って見せる。

「来てるらしいね。ただ、今はまだ、両親が突っぱねてるけれど」

 まさか真行寺の父は母、結構なやる気と本気で、兄妹をくっつけたがっているのだろうか。

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