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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第9章       

 日本の祝日だった、昨夜。

 ヴィヴィの爪を嬉しそうに彩った匠海と、その後、寝室へ雪崩れ込み。

 前から後ろから、ついでに横から、兄は妹の全てを味わい続け。

 結局、それは朝方3時ぐらいまで続けられた。

 もちろん、ヴィヴィは途中、何度も呆けていたが。

『はは。悪かった。ヴィクトリアが「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」って、愛らしく求めてくれるから、調子に乗った』

 そんな、全然 謝罪になっていない言葉を寄越す匠海に、

「もうっ 私のせいだっての~~!?」 

 薔薇色に染まった頬を、ぷうと膨らませるヴィヴィ。

『おや、冬籠り準備中のリスがいるな? ほっぺた、ツンツンしたい』

 うっとりと画面を覗き込んでいる相手に、見つめ返す大きな瞳も、潤んでいた。

「ね、お兄ちゃん……?」

『ん?』

「あの……ネイル、ありがと……」

 スモーキーピンクのネイルは、周りにも評判が良くて。

 ヴィヴィも匠海が使ったネイルセットを、早速ネットで注文したくらい気に入っていた。

『ああ、まだ もってる?』

「うん、綺麗なまま。なんか、お兄ちゃんが傍に居てくれるみたいで、嬉しい……」

 ナイトウェアの胸の前、きゅっと片手を握り締めたヴィヴィに、

 一瞬、画面の向こうの切れ長の瞳が、切なげに細められ。

『じゃあ、2ヶ月後にも、塗ってあげようか?』

 そう続けられた兄の言葉に、

「へ……? 2ヶ月後?」

 「2ヶ月後に何かあったかな?」と、首を捻ったヴィヴィ。

『グランプリファイナル。今年はフランスだろう? 観戦に行こうと思って』

 兄のその告白に、灰色の瞳は驚きに真ん丸になった。

「ほ、本当……?」

 匠海だって多忙だろうに。

 半日以上の移動時間を掛けて、わざわざ試合を見に来てくれるだなんて。

(ていうか……。い、いいのかな……?)

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