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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 その後、温泉旅館 = 卓球大会という、あまりにもベタ過ぎる展開に白熱した6名。

 軽くかいた汗を温泉で流したいころを ぐっと堪え、番組スタッフが手配していた旅館のバーへと向かった。

 男性陣は坪庭が美しいバーの個室で、女性陣はコの字形のカウンターの一角で、

 それぞれ渡されたテーマについて、トークを展開していくことになった。



「では最初のテーマは『お互いの好きなプログラムについて』」

 しっかり者のトモエが、数あるトーク・カードの中から選び取ったテーマに、

「え~~、それは、難しいわぁ」と、粋が頭を抱え。

「そ?」

 首を傾げたトモエに見つめられたヴィヴィも、

「好きなプロが沢山あり過ぎて、1個なんて選べない~~」

 そう零しながら苦笑してみせる。

「まあ、確かにね~」

 同意したトモエは、ADに渡された大きなフリップをカウンターの上に立てる。

 それには女子選手3名がシニアに上がってからの、各シーズンの使用曲が列挙されていた。

「ん~~、じゃあ、はい!」

 しばらくフリップを見つめて悩んでいた3名の中、一番先に挙手したのはヴィヴィだった。

「はい、ヴィヴィ」

 そう指してくれたトモエの持つフリップ。

 その中の1曲を指差したヴィヴィは、にっこりして薄い唇を開く。

「私が 粋ちゃんのプロで好きなのは、ん~~と、2021-2022シーズンのEX『Fine On The Outside』」

 それは、2014年に公開されたジブリ映画『思い出のマーニー』の主題歌で。

「ああ、プリシラ・アーンね~」

 ロングカクテルに口付けていた粋が、昔を懐かしむ様にふっとと口元を緩め。

「へえ? あ~、うちら大学1年くらいの時の?」

 トモエの相槌に、金色の頭が首肯する。


――――
※『Fine On The Outside』プリシラ・アーン
 https://www.youtube.com/watch?v=Yb2arWjBhp0
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