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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 夕刻、温泉旅館に到着した一行は、男・女それぞれ3名ずつ割り振られた部屋に通され。

 色取り取りの浴衣選びにも浮き足立ちつつ、夕食の前にひとっ風呂浴びさせて貰った。

 4月初旬の為、桜と富士山の贅沢なコラボは まだ楽しめなかったが、

 露天風呂から望める末広がりな尾根を愛でつつ、4種もの異なる源泉を堪能した6名は大大大満足だった。

 女湯ではカメラが回っていない事を良いことに、

「私の腹筋の方が割れてるじゃ~ん」

「いやいや、私の縦割れの方が深い!」

「はっ 私のこの硬さの前に、平伏すが良いわっ」

 等と腹筋自慢に余年が無い現役選手達だったが、見兼ねた中居さんに、

「腹筋なんてどうでもいいから、さっさと着付けますよ!」

とぴしゃりとやられ、各々が選んだ浴衣を着付けて貰った。

 粋(すい)が選んだのは、白地に黒と水色の大きな水玉が散りばめられたモダン柄。

 水色・黒・オレンジのラインが入った臙脂の帯が、足長効果抜群で。

 トモエが選んだのは、黒地に赤と紫の大輪の菊が描かれたシックな柄。

 白帯に赤の飾り帯、黒革の帯留めが小粋。

 ヴィヴィが選んだのは、白地全体に大胆な臙脂の花柄が配されたレトロモダンな柄。

 水色の帯と紺の飾り襟が、金髪でぼんやりしがちな印象を引き締めてくれていた。

 三人三様 個性的な浴衣を纏い現れた女性陣は、

「馬子にも衣装」

「見違えた」

「……可愛い……」

と男性陣に褒められて(?)気分を良くし。

 地のものを ふんだんに取り揃えた和懐石に舌鼓を打ったヴィヴィは、カメラの前という事すら忘れ、

「余は満足じゃぁ~~」

 若干ビール腹になった帯の上をポンポンと叩きつつ、至福の表情を浮かべていたのだった。



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