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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

「次のテーマは、ジャン!『好みの異性について』」

 すっと通った瞳を緩め、新たなトーク・カードを選んだトモエに、

「え~~」

「また、ベタなテーマだねえ」

 ヴィヴィと粋は、若干たるんだ声を上げた。

「まあまあ、女子会の究極のテーマといえばね~~」

 そう2人を宥めるトモエに、少し上向きの可愛い鼻から ふっと息を吐いた粋が続く。

「てか、これと同じテーマを、男子も喋ってると思うとウケルw」

「あははっ 確かに!」

 男子3名が語らっているバーの個室を見やった女子達は、アルコールも回ってきたのかケラケラ笑った。

 各々が「好みの異性……ねえ……?」と、首を傾げる中、ADが掲げてきたスケッチブックの文字を読んだトモエ。

「ちなみに “優しい人” “頼りになる人” なんて、ありきたりな答えは受け付けません(キリ)」

「え~~……」

 いつも通り “優しい人” という曖昧な答えで切り抜けようと思っていたヴィヴィが、金の頭を抱えながらウンウン唸り始める中。

 「じゃあ、私からね」と小さく挙手したトモエに2人分の視線が集まる。

「私の異性の好みは “おかん系男子” !」

「お、おかん系男子……?」

 初めて聞いた単語に、灰色の瞳をキョトンとさせたヴィヴィ。

 トモエの説明によると――

 おかん系男子とは、料理が出来る・面倒見が良い・世話焼き

 といった、まんま “おかん” の様な男性のことを言うらしい。

「あははっ 何、その母性の塊!」

 臙脂の帯を押さえ、笑い転げる粋の隣。

(だ……、誰かさんに、ピッタリなネーミングだなぁ……)

 小さな頭の中に2人の男を思い浮かべたヴィヴィは、若干 唇の端をヒクヒクさせていた。

 1人は、母性本能の塊と言っても過言ではない、執事・朝比奈。

 そして もう1人は、

 過去の自分を これでもかと甘やかしていた――

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