この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 蟹出汁に似た濃厚な味わいに、シジミ出汁の如き胃に染み渡る旨味。

 長い睫毛を誇る目蓋をパチパチ瞬かせる妹に、兄は得意気に続ける。

「良い出汁出てるだろう? でもそれ “枝豆” と味噌しか使っていないんだぞ」

 もう一度味噌汁を飲んでみたが、淡泊な枝豆から出たとは思えぬしっかりとした出汁が効いていた。

(……すごい……)

 それで食欲に更に火が付いてしまったヴィヴィは、パクパクと朝食を平らげていった。


 鰆(さわら)の幽庵焼き

 枝豆の味噌汁

 菜の花の煮浸しをはじめとした、春の香り漂う箸休めの数々

 そして極め付けは

 梅・昆布・明太子と定番の具を握った、コロンと小ぶりなおにぎり


 こんなに小さなおにぎりを、兄のあの大きな手でどう握ったのか。

 その様子を想像するに滑稽で、少しだけ胸のすく思いがした。
 
 出されたものを全て平らげ訪れた満腹感に、数十分前のイライラは何処へやら。

 そういえば「いただきます」も言わずに食べ始めた失態を思い起こし、唇の前で両手を合わせる。

 頂いた食材を作ってくれた農家・漁師の方。

 そしてその命を頂いた全ての物に対し発した感謝の言葉。

「『いただきま――した』……『ごちそうさまでした』」

 律儀にそう食事の挨拶を重ねた妹に、隣の兄は何故か「ぶっ」と吹き出していたのだった。

「………………」

(け。 “お兄ちゃんに” じゃないわい。誤解しないでよね)





/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ