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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

「ズルはダメだぞ、ズルは~~」

 どうしても兄のエッグ・カプセルを見つけられない妹が、

 本物の卵で代用してまで、勝ちに行く執念を見せる事まで織り込み済みだったのか。

 ズルを咎める眼差しで見下ろしてくる匠海に、相対するヴィヴィはというと、

 犯行現場を見られては何も言い訳が出来ぬと、むすっと薄い唇を尖らせるしかなかった。

「ふ……、可愛い顔して」

「う……っ うっさいっ」

 結局そこで、タイムリミットとなり。

 2戦目も0対5という完敗をきしてしまった。

「本当に隠してあるの? 1個も見つからないなんて、お兄ちゃんこそズルしてるんじゃないの!?」

 そんな無茶苦茶な主張をするヴィヴィを連れ、2階へ上がった匠海。

「ほら、ちゃんと隠してあっただろう?」

 そう言って兄が水色のそれらを探り当てたのは、なんと各部屋のカーテンの中だった。

 正確に言うと、カーテンを束ねる装飾を凝らせた留め具――タッセルにより作られたカーテンのドレープの中に、うまくカプセルを忍び込ませていたのだ。

 勿論、ヴィヴィとてカーテンは全て調べたつもりだった。

 カーテンレールの上。

 床に落ちたカーテンのドレープの隙間。

 けれど、兄が隠した場所は完璧に死角になっており、計20分も捜索したにも関わらず、見つけることが叶わなかったのだ。

 そして更にイラつく事に、5個全てが同じ手法で隠されていて、

 1個を見つけられれば後は芋ズル方式で、すべて見つかっていた筈だったのだ。

「ず、ずるい……っ」

「何が?」

「なんか良く分かんないけど、おっ お兄ちゃんズルしてそう!」

 もうここまで来たら ゴネたもの勝ちである。

 2回もゲームに負けたのに、己の敗北を認めようとせぬ妹に、それでも兄は気を悪くするどころか むしろ愉しげで。

「じゃあ、違うゲームにしようか。他にも納戸で色々見つけたんだ」

 そんな匠海の誘い文句に食い気味で、

「望むところだ~~っ!」

 そう戦いを挑んだヴィヴィだった、の、だが……。


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