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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 とかし付けた金の頭の中は、てんで空っぽで。

 そんなに飲んだ訳でも無いのに、とろとろと睡魔が襲ってきては かろうじて覚醒し、

 ぬるくなったビールに口を付け――という状況を繰り返していた。

 傍らには常に、匠海の気配を感じていた。

 行儀悪くオットマンにしな垂れかかっている背中に、たまに寄越される視線を感じていたが、

 それさえも もうどうでも良くて。

 灰色の瞳はまた「睫毛が長過ぎて重い」と言わんばかりに、徐々に目蓋の陰に追いやられていく。





『――? ……ヴィヴィ?』

 夏真っ盛り。

 高度の高い太陽が、無遠慮にコンクリート壁を焼く窓際。

 ウッドデッキに細短い両脚を投げ出した幼女が1人。

『どうしたの、ヴィヴィ。そんな下膨れになって』

 今年に入ってグンと身長が伸びた少年は、声変わり真っ最中の掠れ声で幼女をカラかってくる。

 「よいしょ」と呟きながら隣に腰を降ろした匠海が見下ろせば、その指摘通り、

 細く輝く金髪から覗く ふっくら膨らんだ白いほっぺが、生温かな海風に撫でられていた。

『……にゃん、こ……』

 だんまりを決め込んでいた末妹がようやく口にした単語に、兄は一瞬きょとんとし。

 そうして辛抱強く幼女を諭し、口を割らせた “ぶーたれている理由” は、下記の通り――



 昨日スケートのレッスンを終え、松濤のリンクを後にしようとした時、

 駐車場の植え込みの茂みに、段ボールに入れられた子猫を3匹見つけた。

 恐らく元の飼い主は、

 フィギュアを習い事にする家庭 = 富裕層で猫を飼う余裕がある

 との算段の上、非常識な行動に出たのだろう。

 実際、双子以外にもその場にいた子供達は、まだ目も開かぬ子猫を抱き上げ、

『きゃあ、かわいい!』

『ねえ、ママ。うちに連れて帰ってい~い?』

 と口々に親に強請っていた。

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