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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章        

 左と右にも同様に踊り。

 今度は左のトウで踏み出し、右脚はクペで2度引き寄せ、白タイツに包まれた脚を身体の前へ振り上げれば、

 動きに一瞬遅れ、ひらりと宙を舞う白い巻きスカート。

 パ・ド・ブレ(爪先立ちでの足踏・移動)を行いながらの、背骨に支えられた細やかな首の動き。

 紺のレオタードから剥き出しの両腕は白鳥の如く、折り畳んでいた翼をうっとりと広げていく。

 ドゥバン・アチチュード(軸足で立ち片膝を前で曲げ空中で保つ)のポジションを保ちつつ、左のトウで6回跳ねながら右に1回転し、

 同様に左回り右回りにも踊り、軽やかにポワントで踊りつつ、キッチンの隅へと移動して行く。

 凛とした立ち姿で真っ直ぐに前を見つめたヴィヴィ。

 広い空間へと向かって踏み出し、トウで素早く回転しながら移動するシェネを繰り返しながら、リビングまで移動し。

 今度はキッチンの方向へと、まるで氷上を滑る様な滑らかさで、クルクルと華奢な肢体を回転させた。

 弧を描いた薄い唇から洩れる、ふっと力を抜いた吐息。



 バレエ『サタネラ』より バリエーション



 “サタネラ” という名の女に相応しく、小さな顔には徐々に蠱惑的な微笑が広がっていく。

 白タイツの膝上までを覆う、ヘリボーン柄の紺のレッグカバー。

 そこから覗く薄紅色のトウシューズは、重力など物ともせず、軽やかに しなやかに跳ね回る。

 頭上高くに掲げた腕に触れそうなほど高い、デベロッペ(折り畳んだ片脚をゆっくり伸ばし広げる)した爪先。

 手首をくるりと翻しつつ、その指先を見つめ すっと細まる灰色の瞳は、

 可愛らしさの中にも妖艶さを湛え、どこか小悪魔を思わせる。


――――
※バレエ『サタネラ』よりバリエーション

 最後カットされてるけど素敵演技
 https://www.youtube.com/watch?v=uIA7hrk0Bi8&hl=ja&gl=JP

 テクニックは?だけど小悪魔チック
 https://www.youtube.com/watch?v=4tNUxCHw9rw&hl=ja&gl=JP
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