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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第14章        

「か・い・り(海里)クン❤」

 「これから会見なのに そんな怖い顔してちゃ駄目だよ?」という気持ちを込め、グレースーツの背をポンポンと撫でれば。

 ペンを置いたクリスは悪戯っ子の妹を振り返り、その細腰を片腕で抱き寄せる。

 そして、

「美怜(みれい)……」

 耳朶に吹き込まれたのは、いつもより低音で色気を讃えた男の声。

「……~~っ!?」

 ただ己の日本名を囁かれただけなのに、何故か恥ずかしくて赤面してしまった妹に、その様子が面白かったのか。

 こめかみにチュッとキスを落としたクリスは腰の拘束を解き、また何事も無かったかの様に記入を始めた。

 ようやくいつも通りの只の無表情に戻ったクリスと、顔を真っ赤にしてパクパク口を開いて混乱しているヴィヴィ。

 対照的な2人を見比べながら、牧野マネージャーが零したのは、

「何やってんの、お前ら……」

 そんな呆れ返った突っ込みなのだった。





 そして、双子の国籍発表会見の席。

 日英に加え、ロシアや米国を初めとした各国の報道陣も駆け付けたその場で、クリスは淡々と日本国籍を選択した理由を述べ。

 そして英国国民と英国国立スケート協会からの、手厚いフォローに感謝して締め括った。


――――

※双子の日本名について
 (いつだったかの作者ニュースで書きましたが)
 篠宮・海里・クリス
 篠宮・美怜・ヴィクトリア
 という日本名があったりします
 もう出てこないと思うけれど(笑)

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