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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章     

「まだ飲むのぉ~~、飲めるの~~!」

 薄い唇を尖らせながらベッドの上で転がりまくる、不服そうな妹に、

「もう駄目……。僕は、ゲストの対応があるから行くけど、ちゃんと寝てるんだよ……?」

 そう言い置いた双子の兄は「やれやれ、困った妹だ……」と言いたげに、客を待たせている階下へと降りて行った。



 数分後。

 1人になった寂しさからか、スマホを手に取ったヴィヴィは酔いに任せ、ある男の着信拒否を解除していた。

 その日付はただの偶然だったのか、意図的だったのか。

 5月5日(日)

 長兄・匠海の誕生日と同じ日だった。






 インターバル・トレーニングを初め、2週間経過した週末。

 未だ慣れぬトレーニングにヘロヘロのヴィヴィは、夜練に備え屋敷で休息を取っていた。

 ヴァイオリンを手に取っても、蓄積した疲労で長く練習する気力も無く。

 早々に諦めて防音室のソファーにへたり込んだところへ、ノックもせずに面倒臭い男が入室してきた。

「お。今日はちゃんと意識があるな」

 某国の皇太子のその第一声に、意味が分からず「へ?」と間抜けな声を上げれば、ソファーを回り込んだ男は苦笑を浮かべる。

「ここのところ顔を見に来ても、ヴィー常にウトウトしてたじゃないか」

「……? フィリップ、最近うちに来てたっけ?」

 3月の世界選手権後に会った以降、2ヶ月ほどこの無駄に整った顔を見た覚えが無いヴィヴィは、きょとんとしたが、

「……~~っ 新学期始まってから週に4日はここに来てたけど!?」

「………………」

 若干拗ねた様子の相手から、バツが悪くなったヴィヴィは、ついとワザとらしく視線を外した。

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