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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第16章     

嬉しそうに目の前の耳朶に吹き込んでやれば、己のそこにも湿った暖かな吐息が返される。

「煽ったお前が悪い」

「お兄ちゃん?」

「なんだ」

「ここ、会社だよ?」

咎めるどころか一緒に悪だくみを愉しむ様な妹の声音に、その大胆さに呆れた兄が嘆息する。

「……どの口が言うか」

「そう? じゃあ、責任取るね」

「え?」

匠海の上に乗せていた尻を座面に少し落としたヴィヴィは、ワンピースの裾に気を付けながら、二人の隙間から左腕を滑り込ませた。

涼しげなパンツの生地越しでも判る、既にごりりと音がしそうなほど硬化したそれを、慰めるように撫で擦る。

「お仕事してて?」

「……っ 出来るか」

いつも人を煙に巻く兄ならば、作業しながら手淫を受け流すくらい容易な事かと思ったが、意外にも端正な顔には堪える表情が浮かんでいた。

「ヴィクトリアの細い指で撫でられるだけで……、ああ、すぐにイキそうだっ」

嘘か本当か。

妹の胸を愛撫していた左手も、書類をまくっていた筈の右手も肘置きに降ろしてしまった匠海は、局部に与えられるヴィヴィの稚拙な愛撫を堪能している。

(ていうか、このまま本当にイッちゃったら、下着汚れて気持ち悪いよね?)

濡れた下着の気持ち悪さを目の前の男に何度か味あわされたことのあるヴィヴィは、一応は親切心からベルトを解き陰茎を直接触ろうとした。

が、自分が横向けに抱っこされた状態でのそれは困難で、しょうがなく兄を跨ぐ格好で対峙した。

必然と晒すことになるワンピの裾から覗く脚の付け根。

グレーのショーツに包まれたそこはサラサラだったけれど、微かに息の上がった匠海の視線に晒されただけで、ひくんと物欲しげに疼いていた。

「白もいいけれどグレーも似合うな」

肘置きに投げ出していた腕を持ち上げ、ヴィヴィの無防備なそこに触れようとした匠海だったが、

「ここ、オフィスよ? 何考えてるの?」

大きな瞳を眇め ぴしゃりと拒絶された上に侮蔑の視線を向けられれば、兄は何とも言えない表情を浮かべて治めたようだった。

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