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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第16章     

水色のオックスフォードシャツに紺のパンツというシンプルなコーディネート、それらをぐんとランクアップさせているトリコロールカラーのメッシュベルト。

赤紺白の革で編まれたそれを何の躊躇も無く解いたヴィヴィは、まるで鼻歌でも奏でそうな勢いでホックとファスナーを降ろした。

その瞬間。

コンコンと響くノック音、そして返事を待たず開けられた扉。

「篠宮さ~~ん、これがご所望の資料で~~す」

妙に間延びした声と共に入室した日本人社員は匠海に歩み寄ると、抱えていたバンカーズボックスを傍に降ろした。

「ああ助かるよ、ありがとう」

「あれ~~? 妹さんはどちらに? 今からお茶に誘おうと思っていたのに」

二十代後半らしい男性社員は匠海のシスコンぶりを知らないのだろう、そう能天気に零す。

通りでいつまで経っても来客用の茶が出て来ない筈だ。

「小腹がすいたから、近くのTESCO(コンビニ)冷やかしてくるってさ」

広い肩を竦めながら嘘八百並べれば、

「え~~!? 言ってくれればトビっきりのお菓子あったのに。近所のですね? ちょっと見てきます!」

目の前の男はそう言うと、何故か敬礼を寄越して慌ただしく出て行った。

実は見えないところで肘置きの革に爪を立てて耐えていた兄を、間一髪デスクの下に潜り込んで難を逃れていた妹が、更に容赦なく追い立てる。

下着の合わせからまろび出た陰茎を手首のスナップを加えながらしごき上げ、時折上目使いで兄を見上げながら凶悪なそれに頬ずりしてみせる。

まるで黒猫にそうやるように艶やかな毛並みに指を差し入れた兄は、妹が弱い後頭部の地肌を愛撫する。

「ああ、ヴィヴィ……っ そんなに、し……たらっ」

禁欲的なオフィスという環境、かつ、血の繋がった妹による手淫――。

更には施錠されていない扉一枚で隔てた先では、自社の社員が働いている。

その非日常の状況に興奮しているらしい匠海に対し、ヴィヴィはというとアウェーの状況だからか、別に何とも思わなかった。

「? 出さなきゃ、ここから出られないでしょ?」

まさか勃起したままでいるつもり? と、妹は可愛らしく首を傾げ、そして見せつけるようにゆっくりと唇を押し付けた。

先程から先走りの液がとろとろと溢れ続けているそこへ。

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