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第5章 野獣 武志の誤算

「や……やだっ！いやあー!!」

走る途中で悲鳴が聞こえて足を止めた。
声のする方へ急いで向かう。

「陽菜っ！」

大きな岩の後ろに着いた瞬間、目に入ったのは男二人に組み敷かれる陽菜の姿だった。

「せ、先輩…」

「兄ちゃんもしかしてこの子の知り合いー？ダメだよー？一人でほっといちゃーこんなふうに食べられちゃう…ぐはっ…」

そっから先のことは覚えていない。
気づいたら兄貴とペンションの客に俺は取り押さえられていて、二人組の男はぼこぼこに殴られた顔を押さえながら怯えた顔を俺に向けていた。