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噂をすれば恋
第2章 わ
「常務がうちの部長に企画自体をストップかけたんだと」
「へ~」

それはそれは。

「じゃぁ、いつもの「今月の社員」の男女のダブルインタビューはいかがですか?」
「それいいね」

いつも一人なのを倍のスペースにするだけだけど。
「上司じゃなくてカッコいい男性や可愛い女性職員を載せれば
みんな読むんじゃないですか?」
「なるほど。インタビューは山口に任せるよ」
「え!何でですか!」

私、インタビューしている暇なんかないんだけど!

「じゃぁ、社長のインタビュー、山口やるか?」

どっちもどっちの仕事だ。

「人選は山口に任せる」

めんどくさい事を押しつけて!
「分かりました。期限は?」
「来週の水曜日まで」
「分かりました」

私はとりあえずスケジュール帳の来週の水曜日に印を付けて
足早に社外の打ち合わせに急いだ。

待ち合わせに5分遅れた私を、一緒に打ち合わせに向かう加藤さんが
書類を確認しながらコーヒーショップの椅子に座って待っていた。

あぁ。この人が好きだったな。

一瞬自分の心を支配した感情を
無理やりグッと押し込める。

今更加藤さんを好きでいても辛いだけ。
加藤さんに彼女が出来る前に、
加藤さんに気持ちを伝えなかった私が悪い。

もっとも。
伝えたところでどうにかなっていた可能性は低いけど。

加藤さんは溺愛する彼女を、皆に見せびらかすように
社員が集まる居酒屋に連れてきたりした。
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