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第6章 ト

「金子さんの女性関係のいい加減さは。
納得しようとしました。けど、女はそんなに簡単には割り切れないんです」

涙を止める事が出来なくて
今まで我慢していた気持ちがあふれてきて。

そんな事をやっとの思いで言った。

加藤さんが眉間にしわを寄せたけど

「金子さんの女性関係の噂はもちろん聞いてました。
でも、それで納得したと自分をごまかしていても
やっぱり金子さんが私の事をどう思って居るのか不安なんです。
他の女性と好きな人を共有できるほど私は心の広い女じゃないんです」

二人に言ってもしょうがない事を
本当は金子さんに言わなきゃいけない事を
私は涙とともに吐き出していた。

そんな私を見て顔を見合わせていた二人は

「そろそろか」
「そろそろだな」
と時計を確認した。

それから少しして
第４のドアが勢いよく開けられた。

金子さん。

なんで？

今日は金曜日じゃないのに。

「俺が呼んだ。まさか作業服のまま来るとは思わなかったけど」

加藤さんが苦笑して言う。
開発のユニフォームなのか、金子さんは作業服のままだった。