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噂をすれば恋
第1章 う
「山口真樹です。広報部です。26歳です。金子さんは?」
嫌味っぽく自己紹介から初めて見る。
「29。山口さん、よく存じてますよ」
この前も私たちの名前を知ってた・・・よね?
「なんでって顔してる。広報の山口さん。有名だよ。
海外の長谷川さんと同期で二人とも'11年入社の華だよね」
「・・・・」
「広報なのに、自分たちの噂を知らないんだ?」
面白そうに頬杖をつきながら私をじっと見つめる。
「商品開発だって開発だけしてるわけじゃないんだよ」
山梨なのに本社の人をここまで詳しく知ってる?
「俺ね。入社以来、毎週横浜に来てんの。
こっちのうわさも耳にするよ」
私が知ってる開発の人とはちょっと違う。
いたずらをしそうな笑いにこっちも楽しくなる。
しばらく話した後、
「ここを抜け出して、二人で飲み直そう」
とテーブルの下で手を握られた。
「ちょっと!」
金子さんは握っている手を離して、私の腿をゆっくりと撫でた。
「調子に乗らないでよ!」
と抵抗するけど
そのやわらかいタッチに本気で拒否できない気持ちよさがある。
「行こうか」
再び手を握り、そのまま静かに椅子から立ち上がった。
私は遅れないようにカバンを急いで持ちあげる。
そんな私たちを他の4人が笑い話に笑ったまま見上げた。
「俺たち抜けるわ」
ここまではっきり言わなくたって!
その言葉にすみれがにやりと笑いかける。
もう・・・
「じゃ、また来週な」
そう言ってつないでいる方の手を高く上げて
残りのメンバーに挨拶した。
わざわざ手をつないでるって見せつけなくてもいいのに。
目の端ですみれが笑いながら小さく手を振っているのをとらえた。
嫌味っぽく自己紹介から初めて見る。
「29。山口さん、よく存じてますよ」
この前も私たちの名前を知ってた・・・よね?
「なんでって顔してる。広報の山口さん。有名だよ。
海外の長谷川さんと同期で二人とも'11年入社の華だよね」
「・・・・」
「広報なのに、自分たちの噂を知らないんだ?」
面白そうに頬杖をつきながら私をじっと見つめる。
「商品開発だって開発だけしてるわけじゃないんだよ」
山梨なのに本社の人をここまで詳しく知ってる?
「俺ね。入社以来、毎週横浜に来てんの。
こっちのうわさも耳にするよ」
私が知ってる開発の人とはちょっと違う。
いたずらをしそうな笑いにこっちも楽しくなる。
しばらく話した後、
「ここを抜け出して、二人で飲み直そう」
とテーブルの下で手を握られた。
「ちょっと!」
金子さんは握っている手を離して、私の腿をゆっくりと撫でた。
「調子に乗らないでよ!」
と抵抗するけど
そのやわらかいタッチに本気で拒否できない気持ちよさがある。
「行こうか」
再び手を握り、そのまま静かに椅子から立ち上がった。
私は遅れないようにカバンを急いで持ちあげる。
そんな私たちを他の4人が笑い話に笑ったまま見上げた。
「俺たち抜けるわ」
ここまではっきり言わなくたって!
その言葉にすみれがにやりと笑いかける。
もう・・・
「じゃ、また来週な」
そう言ってつないでいる方の手を高く上げて
残りのメンバーに挨拶した。
わざわざ手をつないでるって見せつけなくてもいいのに。
目の端ですみれが笑いながら小さく手を振っているのをとらえた。