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第4章 悲しみの記憶と…

　私はすがる思いで声を出して、道行く人に声をかけたわ。


｢お願い！｣

｢私に食べ物をちょうだい！｣


そう。あの時は無我夢中で叫んでいた。そして、目の前を素通りした人の足下にすがって、食べ物を食べ物をって何度も言った。

そしたら、そのすがった人は貴族の女性だった。女の人は私の掴んだ手を振り払うと、靴で私を蹴った。

石ころを蹴るように私は頭を蹴られた。あの時は本当に惨めで悲しかったわ。

　一層このまま、路上で死ねばいいって自分で自分を責めた。でも、そんな時。誰かが近づいて来て、私を地面から起こしてくれた。

私より、少し大きな子供だった。身なりの綺麗な格好をした男の子が、私の手に何かを握らしてきた。

男の子は何も言わずに私から直ぐに立ち去って行った。そして、私は彼が渡してきた物を閉じた手を開いて確かめた。

　すると、手の中には金貨が1枚入っていた。私はそれに驚いた。