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白雪姫にくちづけを
第32章 番外編


わたしは鏡。
ただの鏡ではありませんよ。
少し特別な鏡なのです。
そうですね、魔法の鏡としましょうか。
わたしが映すのは、この世で一番美しいものだけなのですから。


毎日、替わるがわる、一番美しい娘さんを映します。


そう。
とある式場。わたしは花嫁の部屋に鎮座している鏡なのです。
本日も、わたしの目の前には、美しい娘さんが座ってらっしゃいます。


何とも見目麗しい。
けれども少し、緊張しているようですね。
無理もありません。みなさん、そうなのですから。
待ちに待った、大切な大切な今日この日。
さぞかし、想い入れもあるのでしょう。


コンコン…


おや。わたしの前に、もう一つ人影が映りましたよ。
ふふふ。可憐な花の前では、どんなに素敵な男性も、言葉を見失うものですとも。


本日の新郎新婦は幼馴染なのですね。
ええ。わたしが映すのは、姿だけではありませんよ。
お2人の今までが、手に取るように分かるのです。
だって、魔法の鏡なのですから。


仲睦まじいお2人。
新郎は頬を染めて彼女の手を握っています。
やさしく微笑む彼の姿に、花嫁もようやく、緊張がほぐれてきたようですね。
……あらあら。
ふふふ。新郎は花嫁が愛しくて仕方がないのですね。
お化粧が崩れないように、頬を選んだのは正解ですよ。


ああ。そろそろですね。
さあ、いってらっしゃい。
お2人を包む、あたたかい祝福の輪の中へ。
今日の良き日は、お2人の、そしてご両家の新たなはじまりの日。
どうか、末永くお幸せでありますように…


本日は誠におめでとうございます。
遠藤ご夫妻さま。





END
(魔法の鏡)


♡番外編おわり♡
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