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だ〜いすき!
第2章 熱に溺れて…七夕の願いごと

陽輔は――その過去に思いを馳せる。
華子は俺と幸せになるのだ―――。
花火が好きな華子と今年は絶対一緒に行きたかった。
一緒に行った時に見せてくれるだろう、その喜ぶ顔。
その笑顔が見たい。
そう思って書いた短冊。
言葉にしなくても通じあってる。
その以心伝心みたいな感じが夫婦っぽいな、なんて。
微笑みあう二人であった。
「ほら、貸して。」
笹竹の取り付け易い場所には流石にたくさんの短冊が既に取り付けられてしまって。
結びつける場所を探して、背伸びをしている小柄な華子。
でも…どうしても二つ並べて取り付けたいと奮闘しているその小さな手から短冊を奪うと、陽輔はその短冊を笹竹の少し上部の空いている場所に括りつけた。
「出来たよ。」
「ありがとう。」
赤い短冊と黄色の短冊。
2枚のその短冊は仲良くゆらゆらと揺れていた。
**
数日後。
平日だが、華子の会社が休みである今日、実家の母と墓掃除に来ていた。
―――お父さんが亡くなったのもこんな暑い日だったな…。

