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あたかも普通の恋愛小説
第13章 雨と仔猫と段ボール


「荷物それだけ?」


私を部屋に迎え入れた郎太が不思議そうに覗き込んだ。着替えを何着か持ってきただけの私に合点がいかないみたい。


「徐々に増やそうかなぁ、って。あとでお買い物行きたい。洗面用具とか」

「いいよ」


誰かと同棲なんて私にははじめてのことだから、どうしていいかわからないのだけど。何日かいても困らない最低限のものを置かせてもらえたらいいかな。


「合鍵もまだ作ってないな」

「まだちょくちょく自分の部屋に帰るから。郎太のいない時は来ないよ」


あれ?それだと同棲にはならないのかな。半同棲?まぁいいや。


「制服は?」

「えー……一応持ってきたけどぉ。もう何年も着てないからきっと着れないよぉ」


卒業してから一度も着てない高校の制服は、今さら袖を通すのも何だか恥ずかしい。いかにも十代って感じだし。


「着てみせて」

「今度ね。今日はお買い物先に行くの!」

「ちぇ」


お預けをくらって拗ねてる郎太が可愛くて、思わずなでなで。おっきなワンコみたい。


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