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あたかも普通の恋愛小説
第3章 にゃんにゃん禁止令
大学時代の友人、今日子の結婚パーティーはおしゃれなレストランを貸し切ったものだった。実際の挙式は海外でするらしく今回のパーティーは両家の親戚はいない友人だけ招いたラフなもの。着飾った若い人たちが集まっている。
私もパープルのパーティードレスとショールをひらひらさせながら、同じテーブルのひとと楽しくお喋りしながらご馳走をいただいていた。
おしゃれをしている自分っていうだけで高揚感がある。パーティーって綺麗なものがたくさんあって、雰囲気が好き。シャンパンが美味しくてちょっとほろ酔いの私に、ずっと話しかけてくるのは今日子の男友達なのか、あるいは旦那さんの関係者かわからない。
すっかり雰囲気にのまれて、誘われるままに二次会に行ったり。でも途中で不意に思い出した。私、梨花子に禁止されてた。
思い出した瞬間少し酔いが醒めて冷静になる。カラオケボックスの一室に集まる知らない男女。隣の彼がしきりに私の手を撫でたり太ももを撫でたり。いつもならこれはお持ち帰りされるパターン。
(帰らなきゃ)
頭は冷静になったけど、足元がフラフラして上手く立てない。
「ちょっと、お手洗いに……」
必死に席を立つ私を支えて、隣の彼が何か言っていたけれどぜんぜん聞こえない。さっきの私の声もきっと皆の歌に掻き消されてたはず。