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あたかも普通の恋愛小説
第19章 あたかも普通の恋愛小説
「え。結婚?誰と誰が?」
咄嗟に睨んできた梨花子に思わずごめんなさいと叫びたくなった。
「だから、私が朗太と」
「何で急にそうなった?詐欺か?」
おめでとうのおの字もないまま梨花子の毒舌アワーが続く。いや、まぁ確かについ先日までぜんぜんそんな話はなかった急展開で本人たちも未だ半信半疑ですけど。
「なぜか朗太のお母さんに気に入られたらしくて」
「どのへんだ?」
「わかんない…」
お客様だと思っていた大嶌様が実は朗太のお母さんだった。あのあたりから私はもう何がなんだかよくわからない。補正下着はたくさんオーダーもらえて仕事は無事に成功をおさめたからラ部のみんなや高多さんには迷惑をかけずに済んだけれど。
「早く孫の顔が見たいんですって」
「こんなふわふわふーなカップルで大丈夫なのか?」
梨花子のご心配ももっともな気もするけれど、私にはもう朗太しかいないのよね。お母さんに気に入ってもらえたなら何よりだと思うわけで。
「そういえば位置検索アプリって知ってる?井藤くんがやたら私の居場所知ってると思ったらスマホが発信器になっててびっくりしちゃった」
「井藤!犯罪者か!」
これは朗太から聞いたんだけど。お母さんのマンションに私がいるとかも井藤くんから報せを受けて戻って来たらしいの。井藤くんに言わせると悪気はなくて単に「便利だから」とか。知らないうちにそんなアプリ使われてたなんて驚き。
ちなみに朗太の現在地も井藤くんは把握してるらしい。迷惑かけないなら別にいいんだけど。