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あたかも普通の恋愛小説
第5章 黒歴史の扉


はじめて私を抱いたのは二つ年下の男の子だった。


先輩にフラれてしまった傷がまだ癒えない高校三年の夏。どうしたわけかやたら一年生の男子がなついてきて。何人かいたうちの一人が私に告白をしてきた。

先輩にフラれて以来好きなひとなんていなかった。先輩を想い続けるには傷が深くて、だから恋愛とは縁のない日々を送っていたのに。無邪気で屈託ない後輩たちは元気で。子犬のようだった。明るく“付き合ってください”なんて玉砕覚悟の突撃とかしてきて、それはそれで可愛かったから、別に好きなひともいないしね――なんて。安易にオーケーをしたの。

年下だし、しばらくは清い交際でも続くのかと思っていた。


考えてみたらあの世代の男の子は頭の中はえっちなことでいっぱいなのよね。健全な男子なら交際=えっちで、草食男子は自分から告白なんてしないのかもしれない。


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