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あたかも普通の恋愛小説
第6章 駆け引き、誤算、泡沫の恋
とにかく私は真壁さんのことをもっと知るべき。もっとお近づきになるべき。
そう思って何回かお誘いのメールをしたのだけど。単にタイミングが悪かったのか、空振り三振。バッターアウト。何をしてるひとかわからないから、どの時間、どの曜日が都合いいのかわからなくてついに私は真壁さんのご都合に合わせますって送信したら、しばらく無理って返信が来た。
「…………もしかして避けられてる?」
地味にショック。
でも面と向かって話していたときはそんな感じでもなかった。嫌われてるというより、むしろ彼は寛大な人格者のようだった。
(ただのお世辞みたいなものだったのかな……軽蔑しないって言ったのも)
そうだろうか。そんな上辺のきれいごとだったろうか。当たり障りない慰めだったろうか。
「ん~。わかんないなぁ!」
スマホを思わず投げ出してソファーにズルズルと沈んだ。わかりにくい真壁さん!
でもそのわからなさ加減とかが余計に気になる。
(何を言ってるのかよくわからないし。……もしかして井藤くんと同じ大学院生なのかな?何かの研究者かも!)
突然ピカッと閃いた私は、水を得た魚の気分。
だったら井藤くんと真壁さんが知り合いで色々話してても不思議ない。むしろ井藤くんがあんなナンパな軽薄さで大学院生とか言われるよりも真壁さんのほうが私的にはイメージにハマる。
「……井藤くんに聞いてみようかな……?」