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あたかも普通の恋愛小説
第2章 不名誉な肩書き


「来週、今日子のおめでとうパーティーがあるわけだけど。くれぐれも気をつけなさいよ!私は仕事で行けないし」

「あ、うん。梨花子の分もおめでとうって言っておく」

「じゃ、なくて!」


梨花子は私の鼻を指先でつついた。地味に爪が刺さって痛い。


「新郎側の友人とかも来るから合コンみたくなって誘われるかもしれないでしょ?」

「心配しすぎだよ……」


何度も梨花子には念をおされた。別に私から誘ったりしてるわけじゃないのに、まるで男好きみたいに言われると残念な気持ちになる。

とにもかくにも。しばらくはそういう展開にならないように頑張ってみようかな。


「梨花子は彼氏つくらないの?」

「私は仕事が恋人ー。忙しいのよ」

「ふぅん」


同い年の同学歴とは思えない、梨花子は女社長さん。女の子だけの小さな会社らしいけど。恋愛してる暇はないっていうわりに私の話は聞いてくれる。不思議。


「とりあえず、また電話でもするから。ちゃんと報告なさいよ」

「報告……」


今日子のパーティーの報告でいいのかしら。あるいは私がまた誰かとホイホイ寝ちゃいました的な報告?

梨花子と別れて歩き出すと、早速ナンパ男が声をかけてきた。


「一人?遊ばない?」

「いえ……」


時々ナンパはされるけど、あんまり軽いひとは流石の私だってお断りするわけで、梨花子に言われなくてもちゃんとわきまえているつもり。

たまにしつこいひとがいるけど。


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