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大地の恋
第2章 若葉の頃
のっけから賑やかな珍騒動はお義母さんの誤解を無事に解き解決した。


でも「元カノ」のフレーズに納得しきれていないのは表情で分かるけど、ひとまずお義母さんは悠月を置いて母屋に戻っていった。


「やだ可愛い!ミニ恭也!」


悠月のほっぺをこねくりまわす鞠華さんに悠月の眉間にシワが寄る。



「可愛くないところもそっくりね!」


「………」



そして先生の眉間にも。



「こんなとこじゃなんだから上がってください」


不機嫌な二人をフォローするように招き入れると娘はまだ眠っていた。


「相変わらずいい子ね~」


「寝てばっかりなんですよ」


「羨ましい…」


理穂さんとママトークをしながら娘を覗き込む。
こんなに大勢に囲まれても気づかず眠るこの子はなかなかの大物に違いない。



「小さいのね」


「これでも大きくなったんですよ」


「…ねえ、お名前は何て言うの?」


鞠華さんが先生に訊ねた。



「桃」


「えっ!?」


「桃の節句に生まれたから桃。女の子らしくて可愛いだろ」


「確かに可愛いけど…」


得意気な先生とは対照に鞠華さんは微妙な顔。



「犬がマユなのに子供が桃?普通反対じゃない?」


「反対だったら真優と同じになってややこしいだろ」


「…親がいいならいいんだけど」


「じゃあ言うなよ」


昔とは違う先生と鞠華さんは見ていて楽しい。
それを理穂さんも笑いながら見ていて……



つくづくな不思議な関係だよなって思う。
そんな元カノたちに囲まれて笑っていられる自分も。


私は大地とこんな関係でいられることはなかったからそれはちょっとだけ羨ましくもあって……


「どうしたの?」


「不思議だなって思って…恭也さんと理穂さん達が」


理穂さんは抱っこしていていた下の子を抱き直しつつ考える。



「…みんな完結してるからじゃないかな」


「完結してれば友達に戻れるもんなんですか?」


「お互いがしてればね。……急にどうして?」


「ちょっとだけ羨ましいなと思って… 」







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