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大地の恋
第2章 若葉の頃
「目の色変えて飲んでる」


「食いしん坊なんですよ、この子」


桃を見守る鞠華さんの表情はすごく優しくて、やっぱりこの人はキツくも我儘でもないと思った。


「……ん?」


「ううん」



でもそう思ったことは私の胸の内に納めておこう。


「鞠華さん、また遊びに来てくださいね」


「日本に帰ってきたらまた是非寄らせてもらうわ」


「またケーキ食べに行きましょうね、今度は理穂さんも」


「日本に帰ってくるのが楽しみになりそう」





それからしばらく近況なんかを話していて、先生たちが遅いねなんて言っていると……



「ただいまー!」


「………」


賑やかな集団が戻ってくる。
でもよくよく見ると先生のテンションは明らかに低くて。


「……どうしたの?」


「喝を入れられたんだよね」


「????」


理穂さんはとっても可笑しそうに、そしてちょっぴり意地悪に笑っている。



「あっ、桃ちゃん起きてる」



こたちゃんが桃を覗き込んでほっぺをつついた。


「理穂んちの子と恭也んちの子、幼馴染みになるんじゃない?」


「あ、そうですね。こうやって仲良く大きくなるのかな」


大きくなった二人を想像していると……


「は?男の幼馴染みとかいらないから」


先生が大人気なくボソッと呟く。


「しつこく想われた挙げ句何年経っても忘れられないとか引きずられるのがオチだろ?」


……先生、それは一体誰の事を言っているんですか?



「失礼ね!どうしてうちの子ばっかりが好きになるの前提なんだか!?」


「桃は簡単に男なんか好きにならないから」


言い合う二人を見て「この二人は昔からこうなのよ」と鞠華さんが教えてくれた。


「桃ちゃんは箱入りになりそうね。…いっそ一貫教育の私立の女子校に入れちゃえば?」


鞠華さんの言葉に先生は過剰に反応した。


「それは……ダメ」


「なんでー?」


「うるさい理穂、とにかく女子校はダメ」


「そうよね、女子校といえど女子だけじゃないっていうのは自分が身をもって知ってるものね」


「………」


そういうこと?
そういえば私との馴れ初めを聞かれれば必ず「同僚 」を強調してたな…なんてふと思う。



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