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大地の恋
第4章 再会
「あれ、板橋さん今日はチカちゃんと飯行かないんすか?」


「え?……ああ」


「じゃあ俺と行きませんか?ちょっと聞いてもらいたい件もあるんで」




待ち惚けの俺に後輩が声をかけてくれる。
千花ちゃんを離さない林とハッキリしない千花ちゃんの長引きそうなやり取りを気にしながら後輩と席を立った。










その日は千花ちゃんと話すこともなく一日が終わる。
仕事を終え、外に出ると会社の少し先で誰かを待つ見知った横顔を見つけた。



「千花ちゃん?」


「……お疲れ様です」


「どうしたの?」


「板橋さん待ってたんです」


「待ってたって…」




事務の子は定時で上がる。
千花ちゃんが退社してから既に四時間は経っているだろう。
それなのに千花ちゃんは何事もないように俺に微笑む。



「ずっと?」


「………」


黙ったまま千花ちゃんが頷いた。


「俺に用でもあったのか?あるなら電話…」


「板橋さんの顔が見たかっただけだから」


少し言いにくそうに千花ちゃんは言った。



「はあ?俺の顔なんか見てどうすんだよ」


「……別にどうもしませんけど」


千花ちゃんが背を向ける。


「帰ります」


「はあ?」


「目的は果たせましたから」


「送るよ 」


「大丈夫」


「こんな時間じゃ危ねーだろ」


「……子供じゃないんで」


「なら尚更、ホラ行くぞ」


「………」


複雑そうな千花ちゃんがそれでも俺の後をついてくる。


「長かったろ、待ってんの」


「うん…」


「電話くれれば良かったのに、マジで」


「………」


いつもより千花ちゃんの言葉は少なくて、それが気になりながらも差し障りのない話題ばかりを振っていた。



「千花ちゃん飯食った?まだなら何か食ってかね? 」


「いえ…」


「…何かあった?」


明らかにいつもと違う千花ちゃんに訊ねても千花ちゃんは首を振るだけだ。


「またお局さんに怒られたか」


「違います」


「じゃあどうした?」


わざわざ俺を何時間も待ってるくらいだ。
何もないわけはないだろう。
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