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大地の恋
第4章 再会
「なんかお前らしいな…その言葉」
真優のことは手に取るように分かる。
恋人だった以前に俺たちは一緒に大きくなって、数えられないほどの時間を過ごしてきたから…その人生の選択の仕方はとても真優らしいと思った。
「マユ!」
その時悠月が叫んだ。
声に釣られて悠月を見るとその先にいたのはいつかのナントカプードルを連れたおばさんで…
「こんにちは」
知らないけど真優に倣って挨拶だけはしてみせる。
「家族でお散歩?いいわね~」
おばさんは俺たちを家族と勘違いし、ニコニコ笑いながら通り過ぎて行った。
悠月は真優に向かって「マユ、マユ」と興奮して連呼している。
「なあ、その“マユ”って何なワケ?」
おばさんが行った後、真優に訊ねる。
どうして悠月はあの犬を見るとマユと叫ぶのだろう。
「……犬、旦那の実家のね。あの子と同じアプリコットのトイプードルなの」
「マユって…まさかアイツお前の事忘れられなくて犬にそんな名前を?」
「違う違う、偶然!」
「偶然って…犬につける名前じゃねーぞ」
「けど出会った時には既に飼ってたもんマユ」
ドン引きする俺を真優が懸命にフォローする。
するとベビーカーの中から元気のいい泣き声が聞こえ、真優は急に母親の顔に戻り赤ん坊を抱き上げた。
「ごめんごめん、起きちゃったね」
ベビーカーから出てきたのはムチムチした赤ん坊。
「桃、お兄ちゃんにご挨拶する?」
「………」
赤ん坊は俺と目が合うとニコッと笑った。
「へー…悠月とは偉い違いだな。本当に同じ血が流れてんのかよ」
アイツが言ってた通り確かに真優に似て愛想がいい子だった。
「桃ちゃんは女の子だから愛想がいいんだよねー」
「桃…」
「そう、吉野桃です」
真優が赤ん坊を俺に向けて抱き直す。
「桃…犬がマユなのに娘が桃?」
「フフっ、それ言われたの二度目」
「それにしてもユズとかモモとか美味そうだなおまえの子は」
「パパがつけてくれたんだもんねー」
真優は幸せそうだった。
そんな真優を見たら俺はもっとショックを受けるかと思っていたけど……
腕を組み足を組み、少し前屈みになって赤ん坊をあやす真優を見ていた。
真優のことは手に取るように分かる。
恋人だった以前に俺たちは一緒に大きくなって、数えられないほどの時間を過ごしてきたから…その人生の選択の仕方はとても真優らしいと思った。
「マユ!」
その時悠月が叫んだ。
声に釣られて悠月を見るとその先にいたのはいつかのナントカプードルを連れたおばさんで…
「こんにちは」
知らないけど真優に倣って挨拶だけはしてみせる。
「家族でお散歩?いいわね~」
おばさんは俺たちを家族と勘違いし、ニコニコ笑いながら通り過ぎて行った。
悠月は真優に向かって「マユ、マユ」と興奮して連呼している。
「なあ、その“マユ”って何なワケ?」
おばさんが行った後、真優に訊ねる。
どうして悠月はあの犬を見るとマユと叫ぶのだろう。
「……犬、旦那の実家のね。あの子と同じアプリコットのトイプードルなの」
「マユって…まさかアイツお前の事忘れられなくて犬にそんな名前を?」
「違う違う、偶然!」
「偶然って…犬につける名前じゃねーぞ」
「けど出会った時には既に飼ってたもんマユ」
ドン引きする俺を真優が懸命にフォローする。
するとベビーカーの中から元気のいい泣き声が聞こえ、真優は急に母親の顔に戻り赤ん坊を抱き上げた。
「ごめんごめん、起きちゃったね」
ベビーカーから出てきたのはムチムチした赤ん坊。
「桃、お兄ちゃんにご挨拶する?」
「………」
赤ん坊は俺と目が合うとニコッと笑った。
「へー…悠月とは偉い違いだな。本当に同じ血が流れてんのかよ」
アイツが言ってた通り確かに真優に似て愛想がいい子だった。
「桃ちゃんは女の子だから愛想がいいんだよねー」
「桃…」
「そう、吉野桃です」
真優が赤ん坊を俺に向けて抱き直す。
「桃…犬がマユなのに娘が桃?」
「フフっ、それ言われたの二度目」
「それにしてもユズとかモモとか美味そうだなおまえの子は」
「パパがつけてくれたんだもんねー」
真優は幸せそうだった。
そんな真優を見たら俺はもっとショックを受けるかと思っていたけど……
腕を組み足を組み、少し前屈みになって赤ん坊をあやす真優を見ていた。