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大地の恋
第1章 幼馴染みの弊害
真優は俺の一番下の弟をよく可愛がってくれていた。
大学時代は来れば甲斐甲斐しく家事もしてくれた。


……きっといい母親でいい妻になっているだろう。



あいつの性格と人柄を思えばそれは容易に想像できた。
そして想像できるからこそ隣に居るのが自分でないことが辛い。


「……自業自得なんだけどな」



……後悔はもうしたくない。
これが大切なものを失った俺が辿り着いた結論だった。


でも好きになれる子なんてそうそう現れるもんじゃない。
だから俺は未だに一歩もあの場所から進めていないわけで…


悠月は何か感じるのだろうか。じっと俺を見つめてまたアリを差し出す。



「ありがとな、でも俺アリクイじゃねーから」


悠月から真優の優しさを受け取ってる気がして胸が痛い。


「…悠月、ママ好きか?」


悠月が頷く。


「お、新しいリアクションだな」


……悠月、俺もおまえのママが好きなんだよ。


もうずっと…
おまえのパパよりずっと前から……



「……なんてな」


一人呟くとひどく虚しい。


「そろそろ帰るか?」


悠月に問いかけるとハッキリした声で「ヤダ」と答えが返ってきて…


「マジかよ…」


俺は途方に暮れる。
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