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大地の恋
第1章 幼馴染みの弊害
「つーかこいつの面倒いつまで見ればいいんだ?」


お袋のパートは四時間、まだ二時間以上ある。
真優んちのおばさんだって何時に帰ってくるんだか…


「おばさん帰ってきた時悠月居なかったら心配するよな…」


連絡…と思ったらふと真優が浮かんではたと気づく。
あの一件で着信拒否されていたんだ…


今更解除もないだろう。


「はぁ… どうする?」




何から何まで本当に…








「悠月」



その時だった。
項垂れる俺の向こうから悠月を呼ばれ反射的に顔を上げる。



「パパ!」


「……げ、」



その顔は忘れもしない、憎き男副担任。
頼によって……今かよ……


こいつを見るのはあの日以来だろうか。
昔見た記憶のままの副担は駆け寄る悠月を抱き上げて俺を見る。


「ひさしぶりだね」


「あ…いえ、こちらこそ…」


俺が人生の中で一番病んでたあの頃…
決定的に真優に振られたあの日…


こいつが何故かここに来て、俺にハッキリ言えと真優を手引きしたんだっけ。


「…………」


「…………」



俺と副担の空気は微妙なもので、その中で悠月だけが無邪気だ。


「パパ、アリさんいたよ!」


俺の手のひらの残骸を指差して嬉しそうに父親に教える悠月。


「ん?そう…もう春だもんな」


副担も息子を前に父親の顔で微笑む。
……やっぱそっくりだな。



微笑ましいわけでも嬉しいわけでもないのにクスリと笑みが零れた。


「…良かったな、悠月パパが来て」


悠月を抱く副担の、左手の指輪が目に入り慌てて反らす。



もう俺は不要だ。
座っていたベンチから立ち上がった。




「悠月の面倒見てくれてありがとう。大変だったろ?」


「いえ…俺も暇でしたから」


悠月は父親の腕の中でじっと俺を見ている。



「…そっくりですね、悠月…先生に」


「よく言われる」


「ははっ…でも笑うと真優にも似てますね…」


「そう?」


「……そっくり」



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